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iDeCoを始めた直接のきっかけは、2022年の年末調整だった。会社から配られた書類の中に「小規模企業共済等掛金控除証明書」という紙があって、同期の山田に「これって何?」と聞いたら「iDeCoやってれば税金が戻ってくる書類だよ」と言われた。
そのとき僕は31歳で、毎月の貯金は口座に突っ込むだけ。投資と名の付くものには手を出したことがなかった。ただ「税金が戻る」という言葉は刺さった。翌年の1月、SBI証券でiDeCoの口座を開設した。
それから2年が経った。結論から言うと、iDeCoは「得か損か」という問いに対してはっきり「得」と答えられる。ただし、条件付きで。その条件と、2年やってみて気づいた注意点を全部書く。
iDeCoの節税効果、実際の金額で計算してみた
僕の場合の条件はこうだ。
- 年収:約480万円(手取り約370万円)
- 所得税率:10%、住民税率:10%
- 掛金:月23,000円(会社員の上限:企業型DCなしの場合)
月23,000円の掛金は全額所得控除になる。年間で23,000円×12ヶ月=276,000円が課税所得から引かれる計算だ。
| 税金の種類 | 税率 | 節税額(年) |
|---|---|---|
| 所得税 | 10% | 27,600円 |
| 住民税 | 10% | 27,600円 |
| 合計 | 20% | 55,200円 |
年間55,200円。月換算で4,600円が節税できる計算になる。これは掛金として使った276,000円のうち、20%がまるごと戻ってくることを意味する。投資のリターンとは別に、最初から20%のボーナスがついてくる感覚だ。
2年間の累計だと110,400円の節税になった。実感として「毎年ちょっとした旅行代が浮いた」くらいの金額感だ。
年末調整での実体験、ここが意外とめんどくさい
iDeCoの節税効果は、年末調整(もしくは確定申告)で手続きをしないと享受できない。この手続き、最初は少し戸惑った。
毎年10月頃、iDeCoの口座を開設した証券会社(僕はSBI証券)から「小規模企業共済等掛金払込証明書」が郵送で届く。これをなくしてはいけない。
会社の年末調整の書類(給与所得者の保険料控除申告書)に、この証明書の金額を転記する。記入欄は「小規模企業共済等掛金控除」の「確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金」という箇所。初年度は欄を探すだけで10分くらいかかった。
記入が終わったら証明書の原本を添付して会社に提出する。これだけで翌月か翌々月の給料に、節税分が上乗せされて戻ってくる。僕の場合は12月に提出して、翌年1月の給料明細を見たら「所得税」の欄が普段より少なくなっていた。
注意点が一つある。証明書の紛失に気をつけること。再発行はできるが、証券会社によって時間がかかる。届いたらすぐスマホで写真を撮って、原本は別の封筒に保管するくらいがちょうどいい。
2年間の運用成績と選んだファンド
僕が選んだのは「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」一本。理由は単純で、iDeCoの運用期間は長期になるのが前提なので、分散が広い方がいいと判断した。
2年間の推移はこうだった。
- 2023年:元本276,000円 → 評価額約317,000円(含み益+41,000円)
- 2024年末:元本552,000円 → 評価額約701,000円(含み益+149,000円)
運用益が+149,000円、節税効果が+110,400円で、2年間のトータル効果は約26万円。元本552,000円に対して約47%のプラスだ。もちろんこれは2023〜2024年が株式市場にとって好調だったという運も大きい。
ただし、ここで注意が必要なのが「この運用益は今すぐ使えない」という点だ。
60歳まで引き出せない、これが一番きつい
iDeCoの最大のデメリットを一言で言うなら「60歳になるまで原則として引き出せない」ことだ。
僕は今33歳なので、あと27年間は手をつけられない。その間に家を買う頭金が必要になっても、子どもの教育費が必要になっても、iDeCoの口座は触れない。「老後のお金」として完全にロックされている。
もう一つのデメリットが「掛金は途中で変更できるが、止めるには手間がかかる」という点だ。転職や収入減などで掛金を払い続けるのが難しくなっても、口座自体は維持しなければならない(掛金をゼロにする「運用指図者」という状態にはなれる)。口座の維持手数料も発生するので、将来の見通しを立てたうえで始めるべきだ。
SBI証券の場合、運用中の手数料は月171円(国民年金基金連合会66円+信託銀行66円+SBI証券0円)。年間で2,052円かかる。節税額と比べると微々たるものだが、0ではない。
出口戦略の注意点、ここを知らずに始めると損する
iDeCoの「出口」、つまり60歳以降にどうやってお金を受け取るかは、始める前から把握しておくべき話だ。受け取り方によって税金の扱いが大きく変わる。
受け取り方は3種類
- 一時金(一括受取):退職所得控除が使える。税制上は最も有利なケースが多い
- 年金(分割受取):雑所得として課税される。ただし公的年金等控除が使える
- 一時金+年金(組み合わせ):上記2つを組み合わせる
問題になるのが退職金との兼ね合いだ。会社から退職金をもらう場合、iDeCoの一時金と合算されて退職所得控除の枠を消費してしまう。会社の退職金が多い人ほど、iDeCoを一時金で受け取ると控除が足りなくなって課税される可能性がある。
具体例を出すと、勤続30年の退職所得控除は1,500万円(20年超は1年あたり70万円)。会社の退職金が1,200万円あれば、残り300万円の枠しかない。iDeCoの積立額が300万円を超えていたら、その超過分に税金がかかる。
この問題への対策として「退職から5年(2022年改正で5年→5年に延長)以上空けてからiDeCoを受け取る」という方法があるが、現時点では改正の動向を追い続ける必要がある。
要は、iDeCoの出口戦略は自分の勤務先の退職金制度とセットで考えないと損をするということだ。始める前に自分の会社の退職金額の目安を確認しておくことを強くすすめる。
iDeCoに向いている人、向いていない人
向いている人
- 所得税率が20%以上の人(年収600万円以上が目安):節税効果が大きい
- 老後資金を着実に積みたい人:強制的にロックされるのが逆に武器になる
- 企業型DCのない会社に勤めている人:掛金上限が月23,000円で使いやすい
向いていない人
- 近い将来に大きな出費(住宅購入・教育費)が見込まれる人:流動性がゼロになる
- 年収が低く所得税率が5%の人:節税効果が薄い(年間で数千円程度)
- フリーランスで収入が不安定な人:掛金を払い続けられない可能性がある
2年やって出た結論
iDeCoは「節税のために60歳まで一定額をロックできる人」にとっては本当に得な制度だ。掛金の20%が税金として戻ってくる上、運用益も非課税というダブルの恩恵がある。
ただし「老後資金は別で用意してある、iDeCoは節税だけのために使う」という考え方は危険だ。60歳時点で受け取り方を間違えると、せっかくの節税効果が出口で相殺されてしまうことがある。
僕がすすめる最低限の確認事項は2つ。
- 自分の所得税率を確認する(源泉徴収票の「源泉徴収税額」を総支給額で割れば大体わかる)
- 会社の退職金制度を人事に確認しておく
この2つを確認してから始めれば、iDeCoはほぼ間違いなく「得」だ。31歳の自分に「早く始めろ」と言ってやりたい。
※本記事は筆者の個人的な見解であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。金融商品の価値は変動し、元本割れの可能性があります。
